系統樹の歴史
系統樹を最初に描いたのは、エルンスト・ヘッケルであった。彼はチャールズ・ダーウィンの進化論に感銘し、動物の系統を進化論に基づいて明らかにしようとした。彼はその根拠として反復説をとなえ、発生の仕組みに基づいて動物の系統に関する自説をまとめ、これを分かりやすく示す手段として大木の枝先に各分類群を配置したような図を作った。この場合、系統的に離れたものほど太い幹からの枝分かれが離れた位置になるように配置し、高等な体制のものほど高い枝に置いた。この場合、枝の長さや高さは必ずしも時間や体制の発達程度を忠実に表すものではなく、何となく上の方に偉いのが、離れたところに進化の進んだのがある、というような図である。しかし、直感的な印象が非常にわかりやすいものであった。
このような曖昧な形式の系統樹に対して、より正確な系統樹を描く試みもなされた。たとえば、古生物学の分野では、古生物のある群の消長がわかれば、横軸に時間を取り、その生物の誕生の時点から絶滅の時点までに至る帯を描くことができる。種数の増減は帯の幅で示す。ここで、この群から別の群が分化したと考えられると言うことがあれば、その時間の点で、前者の帯から枝分かれの形で新しい群の帯を描くことができる。これを繰り返せば、全体としてはやや樹型に見える系統樹を描ける。ただし、この場合、樹木のように根本が太く、先へ行くと細くなるような形を取らず、なにやら炎のような形になる。
より厳格な系統樹を描く方法を提示したのが分岐分類学である。それまでは各分類群の特徴を恣意的に取捨しつつ系統を論じていたのに対して、様々な形質を選び出し、それらを厳格な手順で比較、類似点を求めつつ分岐図を書き上げる方法を示した。そこでは分岐からのエッジの長さは類似度や信頼度のような数字で示され、それが進化に要したと見積もられる時間に相当する。さらに分子遺伝学的情報を用いて、分子時計を利用すれば、(その信頼性は別に論じなければならないとしても)絶対年代までを示しうる。
ただし、その図はやたらチームの多いトーナメント表のごときものになり、直感的な視認性の点では問題がある。そのため、一般読者に向けては、古典的な曖昧な系統樹もまた、需要はある。しかしながら、生物の系統に関する理解は、二一世紀初頭現在、かなりの混乱にある。
『ウィキペディア(Wikipedia)』引用
ヘッケルの系統樹はとても素晴らしいです。